VPN接続中なのに社内サイトが開かない?原因はテザリングとIPv6かもしれない
VPNにはちゃんと接続できている。IPアドレスも学内(または社内)用のものが割り当てられている。
なのに、イントラや限定公開のWebページが開かない、PDFが真っ白、という不思議な現象に遭遇しました。
さらに謎なのが、iPhoneのテザリングを使うと正常に開けるのに、Androidテザリングだとまったく開かないという点。
今回は、この現象の原因と対策について解説します。
症状の特徴
- VPNには問題なく接続できている
- 社内向けページやファイルが開かない(真っ白/ERR_CONNECTION_RESET/403)
- iPhoneテザリングならOK、AndroidテザリングだとNG
原因:IPv6によるVPNトンネルの“すり抜け”
実はこの現象、VPNの接続そのものではなく、その通信経路に問題があります。
Androidのテザリングは多くの場合、IPv6を優先する通信設定になっていて、
Windows側のネットワーク設定もそれに従ってしまいます。
その結果、
- VPNは接続できていても
- ブラウザの通信(HTTPSなど)はIPv6経由で外に出てしまい、VPNトンネルを通らない
という状態になります。
どうして問題になるのか?
イントラネットや社内向けサイトの多くは、特定のIPアドレスからのアクセスしか許可していません。
IPv6経由でアクセスされると、そのIPは許可リストに含まれておらず、アクセス拒否(403)やタイムアウト(ERR_CONNECTION_RESET)になります。
つまり、VPNには接続できているのに、実際の通信がVPNをすり抜けていて意味がない、ということです。
実際のネットワーク状態(ipconfig
で確認)
以下はAndroidテザリング時の一例:
Wi-Fi アダプター:
IPv6 ゲートウェイ: fe80::…
IPv4 ゲートウェイ: 192.168.43.1
VPN アダプター:
IPv4 アドレス: 150.65.xxx.xxx
デフォルトゲートウェイ: (なし)
→ この状態では、実際のWeb通信はIPv6でインターネットに出ており、VPNを経由していない
対策方法(おすすめ順)
✅ 1. iPhoneテザリングを使う
iPhoneはIPv4優先の通信が多く、VPNトンネルも安定して通ります。
✅ 2. Windows側でIPv6を無効にする
- コントロールパネル → ネットワークと共有センター
- 使用中のWi-Fiアダプターを右クリック → プロパティ
- 「インターネット プロトコル バージョン6(TCP/IPv6)」のチェックを外す
- OKして再接続
※ これによりIPv6経由の通信が遮断され、IPv4+VPNで安定します。
まとめ
VPNがつながっていても、通信内容がVPNを通っていなければ意味がない。
特にAndroidテザリングでは、IPv6優先の仕様によりVPN通信が正しく機能しないことがあります。
イントラや社内システムが見えないときは、ネットワーク経路を疑うのが正解です。
一言メモ
ちゃんとつながってる「つもり」でも、すり抜けてることがある。VPNは接続より中身が大事。